2018~2017

2018~2017 · 2018/11/10
11月9日に開催された研究会では、今秋、中国吉林省琿春市で行われた国際人材交流会議を題材に、ジョイントアジア代表で当フォーラム専務理事の杉本希世志が現地の最新事情を報告しました。 吉林省琿春市が日本ではあまり取り上げられない地域だけに、その内容も大変貴重なものとなりました。テーマは、日本を含めた中国、韓国、ロシア、モンゴルとこの地域一帯の「人材」。日本でも「人材」はホットな話題、国家や企業の戦略の根幹となる非常に重要なテーマであることから、参加者の関心も大変高いものでした。 杉本が参加した国際人材交流会議では「この5カ国で大学をつくってはどうか」という提案もあったそうです。その旗振り役は琿春。背景には「一帯一路」構想があり、琿春は「労働力として、あるいは高度人材としての人材」をキーワードにして、この「一帯一路」構想にコミットしようとしていることが伺えます。この会議のもうひとつの焦点は北朝鮮からの労働力の確保。中国における縫製・アパレルなどの労働集約型産業は、労働者の確保が難しくなってきている中で、北朝鮮と接している琿春市に目が向けられています。
2018~2017 · 2018/07/25
2018第4回研究会「『一帯一路』と中越国境地帯」を開催しました
ASEAN諸国の中でも、特に経済発展が著しいベトナム。人口約9200万人で平均年齢30歳程度のまだまだ若く勤勉なこの国は、親日国家でもあり、日本のビジネスパートナーとして、また貴重な人材の確保先としても存在感を増しています。一方でお隣中国とベトナムの関係は政治的には必ずしも良好とは言えず、南シナ海問題等の摩擦も抱えています。 しかし、ビジネスとなると話は別、なのかもしれません。このベトナムでも「一帯一路」を掲げる中国のプレゼンスがじわじわと浸透してきています。この度、当フォーラム理事長の姫田がそのベトナムに渡り、中越国境の現場を取材。7月24日の研究会でその生々しい現状を報告致しました。 中国と国境を接するベトナム側の町モンカイ。この人口わずか9万人程度の町で見えてきたのは、「一帯一路」を錦の御旗に開発を進める中国企業と、“義烏モデル”を髣髴とさせる中国製品の氾濫だというのです。また、現地の一等地はすでに中国資本によって抑えられ、“中国製を販売するための不動産開発”も進んでいます。果たして「一帯一路」はウィンウィンで進むのでしょうか。今後の展開が気になります。
2018~2017 · 2018/05/11
2018第3回研究会『深圳で今何が起こっているのか?~ビジネスモデル・イノベーションの観点を踏まえて』を開催しました
5月10日、アジア・ビズ・フォーラムでは「深圳で今何が起こっているのか」をテーマに、ビジネスモデル研究の権威である張輝氏(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授)をお招きし、ビジネスモデル・イノベーションの観点から、シンセン視察のご講演をいただきました。 そもそもイノベーションとはなんでしょうか――という張氏の問いは大変興味深いもので、日本では「イノベーション」そのものが目的になってしまっているのではないか、とのご指摘を受けました。確かに「イノベーションはあくまで『手段』」(同)に過ぎません。 張先生はイノベーションについて、「異なる要素の新しい組み合わせ」と定義しており、中国ではこの「新しい組み合わせ」がどんどん発展していることを示唆されました。 それこそ中国は「社会主義の政治体制」でありながら、「資本主義の経済」という新たな組み合わせの、壮大な実験場です。こうした土壌から新たなビジネスモデルが生まれてくるのは必然なのかもしれません。「品質がよい」×「価格は安い」というのも、中国ならではのイノベーション。ファーウェイやOPPOなどスマホの展開もウォッチしたいところです。
2018~2017 · 2018/03/17
2018第2回研究会「日本人エキスパートが斬るリアルなロシア」
3月に行われた研究会では、CISビジネスコンサルタントの中沢純一氏にご登壇頂きました。住友商事のロシア総支配人として、旧ソ連時代からこの国とかかわり、22年に及ぶ歳月を在外で活躍された地域専門家のおひとりです。中沢氏の現地のビジネスを通して知るロシア観は説得力のあるもので、歯に衣着せぬ、核心を突く“ズバリのレクチャー”を頂きました。 たとえば、資源依存国家であるロシアの将来。これは地球規模の関心事ですが、「いずれは枯渇する資源に依存はできないことはわかっていても、新たな議論や政策はまだ出てきていない」(中沢氏)というのが現状のようです。大国でありながら議論や政策が俎上に乗ってないというのは実に意外でした。 技術革新も進んでいないようです。中沢氏によれば「計画経済時代の工場があちこちに点在するも、距離が遠すぎて、現代においては使い物にならない」(同)といいます。20%台という高金利が災いし、コストが高くついて設備投資できないという一面も存在するようです。一方で、“日本製”の技術は、『いい技術だ』とほめてはくれるも、なかなか入り込む余地がないのが現実のようです。
2018~2017 · 2018/02/08
2018第1回研究会『インドと中国、二大国のパワーゲームの行方~インドの対外戦略と一帯一路』を開催しました
日本の大手マスコミは連日、インドや南アジア情勢に大きく紙面を割くようになりました。そこでアジア・ビズ・フォーラムでは、インドをテーマに拓殖大学名誉教授の小島眞先生をお招きし、インドから見た「一帯一路」をサブタイトルに、「インドの対外戦略」についてお話をお伺いしました。セミナー出席者の顔ぶれが、外務省OBはじめ、邦銀、証券、メーカー、IT、法律事務所、エコノミスト、メディアと多彩な顔触れになったことからも、インド情報への高い意識が伺えました。 特に小島氏が描写されたモディ政権のありようは関心を引きました。たとえば、ダボスで行われた経済フォーラムでのキーノートスピーチをモディ首相が行ったこと、また近年の政策では「ルック・イースト」戦略から一歩突っ込んだ「アクト・イースト」を掲げ、アセアンとの結びつきを重視していること、また対米外交では「印米関係」の緊密化を目指していることなどがそれです。 他方、小島氏が最近、フォーカスされているパキスタンとブータンについても、そのご研究の一端をご紹介いただきました。
2018~2017 · 2017/12/15
12月14日(木)に開催した研究会では、当フォーラム理事長の姫田小夏が登壇。今後の世界情勢に大きな影響を及ぼす大きなテーマ「一帯一路」を取り上げ、英国現地の最新レポートとともにお届けしました。 中国と英国のタッグという一昔前では考えられないような動きが現実に起こるこの時代、英中の歴史や経緯、当事者である英中の思惑と勝算。また、インドをはじめとする周辺国はどう動くのか?そして日本はどこへ向かうべきなのか?――講演はマクロな情勢やデータ、現場の生の情報も織り交ぜて展開、参加者の高い見識も相まって、閉会まで大いに盛り上がりました。どのようなリスクを想定し、どのような対策を取っておく必要があるのか、という点でも示唆に富んだ講演であり、意義ある議論が展開しました。中でも個人的に注目したのがインドのスタンス。 当初中国の「一帯一路」の動きに同調する向きもありましたが、昨今の報道では変化がみられます。もともと政治的にあまりそりの合わない中国とインド。それに対し日本は政治的にインドに近く、経済は中国への依存度が高くなっています。複雑な状況の中で日本はどう舵取りをしていくのか気になるところです。
2018~2017 · 2017/09/27
2017第3回研究会『現場目線のリアルなフィリピン』を開催しました
AbF専務理事の杉本希世志が現地報告を行いました。もともと、日本には結婚などで在留フィリピン人が多く住んでいますが、それ以外の在留資格での日本滞在は非常に少ないと言われています。アメリカ移住志向の強いフィリピン人にとって、日本で職を得るという発想は乏しいようです。かつて日本で増えたフィリピンパブも現在では縮小しており、ダンサーなどの資格での在留すら減少しています。ましてや留学生となるとその数たった1500人程度。「日本で学んでもメリットなし」、というところに彼らのモチベーションは高まらないのが実情です。他方、在フィリピン日本国大使のHPにはこんな一文が。「日本政府は、日フィリピン経済連携協定(JPEPA)に基づき2009年からフィリピン人看護師・介護福祉士候補者を受入れているが、このうち看護師・介護福祉士国家試験の合格に至らなかった700名超がフィリピンに帰国している」――。日本語や日本文化の壁に加え、激務であることが人材を遠ざけています。「それでも、活用の領域はある」(杉本)。「英語人材として、あるいは海洋系、水産系にも
2018~2017 · 2017/06/20
今回は朝鮮半島情勢の緊張が続く中、ロシア側目線での朝鮮半島、中国、ロシア国境地帯を取り上げました。この地域専門のジャーナリストを講師にお迎えし、通常なかなか触れることのできない情報を、経済・ビジネス面を中心に語って頂く大変貴重な機会となりました。参加者の中にも朝鮮半島、ロシア、中国関係者が多く、交流会では非常に濃い情報、意見交換が交わされ、将来のビジネス面可能性にも議論は及びました。マクロ情勢から現場事情までカバーする、まさに、アジア・ビズ・フォーラムならではの研究会となりました。極東は日本ビジネス界がこれまで敬遠してきたビジネスの空白地域。日本のメディアでは政治・外交・軍事面が報道の大半を占めていますが、アジア・ビズ・フォーラムでは今後も民間の動きに光を当てた独自の視点でフォローしてまいります。
2018~2017 · 2017/01/31
今年第1回目となる研究会では、アジア・ビズ・フォーラム、理事長の姫田小夏が登壇し、『2017年のインバウンド・ビジネスの展望-中国人が見つめる日本市場-』をテーマに講演を行いました。ちょうど1年前に当フォーラム研究会でインバウンド・ビジネスを取り上げましたが、当時の話題の中心はまさに「爆買い」一色でした。あれから1年、中国からの訪日旅行は一変しました。理事長の姫田は、当時の爆買いがもたらしたリスクと教訓を振り返り、経済効果追求に偏ったインバウンドや綻びについて、現場取材を通じた発信を行いました。講演は、失敗やトラブル事例を踏まえ、今後インバウンド・ビジネスを考える際にどのような視点が必要かという踏み込んだ内容で展開、参加者からの活発な意見もあり大変有意義な議論の場となりました。「モノ」から「コト」へのステージに本格的に移行し始めたインバウンド・ビジネスはまさにこれからが本番といえるでしょう。今年、アジア・ビズ・フォーラムではこのインバウンド・ビジネスというテーマを深く掘り下げ、そのあり方、処方箋、活性化策についても提言して参ります。どうぞ、ご期待ください。