中国在留の日本人も話していた「軒下を借りているんだから」という発想

横浜橋通商店街(横浜市南区)を1年半ぶりに訪れた。コロナ禍の影響を引きずっていた前回の訪問時(20231月)に比べ、商店街はだいぶ活気を取り戻していた。この商店街はもとより活気ある商店街で知られていた。2022年に「かながわ商店街大賞」を受賞している。

 

近年の横浜橋通商店街の場合、活気創出の源(みなもと)は、コロナ禍を境に新規参入するアジア勢だと言える。この商店街は主にベトナム系、韓国系、そして中国系が、今日も元気に商売を営んでいる。

  

商店街の入り口に立つと、中央に黄色い星を描く赤い国旗が目に入る。ベトナムの食材店やバインミーを売る店など、ベトナム系の店が4店ほど視界に飛び込んでくる。

 

「韓国料理」ののぼり旗も立つ。「商店街上陸!韓国風ホットドッグ」「店内40種類のキムチ!」など、日本語のキャッチコピーが掲げられているのを見ると、ターゲットにしているお客さんは日本人であることがわかる。近年の韓流ブームもあって、日本と韓国の垣根はどんどん低くなってきているという印象だ。

 

ちなみにその店構えは、文字通り「間口一軒」程度のひっそりとしたもので、「手広く展開してガンガン儲けてやろう」といった雰囲気がない。

 

 

これを見て、中国生まれの朝鮮族の友人から聞いた話を思い出した。

 

「私の母親は、歴史の動乱の中で中国に渡ったときに、『中国に軒先を貸してもらって商売しているのだから』と繰り返しながら仕事をしていた」というものである。

 

そういえば、2000年代に中国に進出した日系企業の日本人駐在員も同じことを言っていた。こういう意識のある日本の企業やビジネスマンは、確かに現地でうまくやっていた。